人工肛門を造設してから、7か月ちょっとのある日、夫がトイレから出てきて言いました。
ちょっと、恥ずかしいんだけど見に来て。
匂いもするんだけど、ごめん、こういう便が出たんだ。
そこで、あたふたとトイレに見に行きました。
え~~~(絶句)これが出たの?写真撮っておく?先生に見せるかも
ストマーなのに、きちんとした便が出るのは、今月で3回目だとか。
それまでも、細い便だったり、もちろん粘液は常に出続けていました。
ストーマ造設後の便
まさか本物の肛門から便が出るということは、驚きでした。
人工肛門造設後、人工肛門から出る便に対するケアにばかりに意識が向いていました。
便は、人工肛門から出るものだ。とそういう認識だったのですが、りっぱな便が出たのを見て、
それは良いことなのか、良くないことなのか、混乱しました。
腸の粘液
もともと、自然肛門からは腸の粘液が出ていました。
腸の粘液が出る理由ってなんだろう。
人工肛門にしたら、お尻からは何も出ないんじゃないかと思い込んでいました。
そこで、調べていたらこのサイトが一番わかりやすかったので、引用します。
ストーマ造設後に肛門側から粘液が出る理由とは?
ストーマ造設後も肛門から排便や無色透明な粘液様の排液があることがあります。これは、残存している腸に残っていた便や大腸粘膜の脱落によって起こります。
一般的には術後数日から半年くらいかけて徐々に減少はしていきますが、透明な粘液様の分泌物は代謝物なので少量ずつではありますが流出することがあります。これは正常な過程であるため心配いりません。
注意しなければいけない粘液
一番重要なのは血液が流出するときです。術後早期であれば、断端部に残存していた血液が血塊として流出することはありますが、継続して血液が流出する場合は、断端の縫合不全等が考えられます。
また、膿瘍の物質がある場合も断端で感染を起こしている可能性があります。
肛門側より排便等
ストーマ造設後であっても肛門側より排便等があることがあります。
これを読んで、ますます混乱しました。
外来の時に主治医に聞いてみました。
肛門から、便が出るというのは何か問題でもあるのでしょうか。
ストマ作ってあるんですけど、腸が病気のところ以外、ある程度残っているじゃないですか。
そのところの部分に、お通じがまだあって、それが少しずつ降りてきている。それが出てきている、ということです。
基本的には、ストマーのところから出てくるんですけれどね。
理屈っぽい私は
基本的にはということは、基本的じゃない時はどうなんだろう
それはそれで納得はしたのですが、ストマーにして7か月以上。
- 腸に残っているのが少しずつ出てきている?
- そんなに長い時間留まっている便?
気になったので、インターネットで調べていました。
そして、見つけました。納得する理由が。
人工肛門造設術の説明書に、書いてあるではないですか。
【横行結腸を挙上し双孔式の人工肛門を作成します。】
目を通して、読んではいるのですが、意味がよくわからなかったということです。その3文字(双孔式)が、手術後の生活にとって大きな違いになるとは、その時まったく気に留めませんでした。
答はストマーの種類
そうだったんです。ストマーには種類があったんですね。
単孔式と双孔式
夫は、双孔式のストマーだったんです。
双孔式の図です。
双孔式は、口側から便が肛門側から粘液が排泄されます。双孔式には、係蹄式(ループ式)ストーマ、分離式ストーマがありますが、現在ではループ式ストーマが多く、できる限り肛門側のストーマを小さくして、ケアがしやすいように配慮されています。
口側から排出された便が、肛門側に入り、肛門から出ることがある。ということなんですね。
何か悪いことが体の中で起きているんじゃないかと、心配でしたが、肛門から便が出ることがあると知り少し安堵しました。
参考 消化管ストーマの単孔式と双孔式の違い
ストーマリハビリテーション学用語集1によると,単孔式人工肛門造設術は,「口側腸管断端部を人工肛門にする手術」,双孔式人工肛門造設術は,「腸管口側端を人工肛門に,肛門側端を粘液瘻に造る手術」と定義されています.
単孔式ストーマは排泄口が1つであり,エンドストーマともいわれます.双孔式ストーマは排泄口が2つあり,係蹄式(ループ式)ストーマ,分離式ストーマがあります。
おわりに
ストーマ(人工肛門) 造設後に本物の肛門からの粘液以外の、大きな排便がありました。
????? 動揺しました。普段から、便意もかなりあるようです。
どうしてなのか、気になって仕方がありませんでした。
夫は、ストマーが、双孔式でした。
双孔式は、口側から便が、肛門側から粘液が排泄されます。
すでにご存じの方にとっては、何でもないことですよね。
知ってしまえば、このような初歩的なことで、あれこれ考えてた時間が無駄だったかもしれません。
重要追記
この後、便がたまりすぎて、入院となりました。