ガンになったら、一番肝心なのは病院選びかもしれません。突然の診断であればあるほど、深く考える時間がありません。
まず、体調不良から病院受診をします。そして、思いもよらぬガン診断。
手術や抗がん剤治療までの短い時間で、判断しなければいけないことが、山のようにあります。病院ごとに、医師によって医療に対して差がどれくらいあって、どう考えるべきだったのか、振り返ってみます。
日本の医療保険制度
診療報酬の点数は、1つひとつの医療行為ごとに厚生労働大臣が細かく決めています。
皆さんが受けた医療行為に対する価格は、医療行為ごとに決められた点数を基に「1点=10円」として計算されます。(例えば、初診料288点ですと2880円になります)。
この医療行為ごとの点数「1点=10円」という金額は、全国どこでも変わりありません。 日本医師会HPより引用
ということは、どこの病院でも、医療行為の点数が同じならば、同じ支払額になるということのようです。
※保険外診療や、保険の効かないベット代などは除きます。
支払額が同じということを、どう捉えるか。
病院ごとに、
- 設備
- 手術件数
- 症例数
- 医師の能力
- 医療スタッフ
- 経営方針
- 病院の得意分野・・・・など違います。
しかし再度申し上げます。医療行為の点数は一緒です。
インチキ医療に騙されないなど、警鐘をならす本まであります。
どうすればいいの?どう考えればいいの?と悩むことが出来るのは、恵まれていることかもしれません。
それでも、少しでも納得のいく医療を選択したいものです。
医療格差は情報格差
それでは、納得のいくような治療を受けたいと思ったらどうすればいいのでしょうか。
まずは、情報を集めることから始めます。
全国病院別治療実績・手術件数
病院口コミ検索サイトなるものを、知人に教えてもらいました。
DPC(診断群分類包括評価制度)対象病院とは、主に大規模な医療機関を対象とした医療費の定額支払い制度を採用している医療機関。 全国5316病院(準備病院・出来高算定病院含む)の治療実績・手術件数が公開されています。
全国病院別治療実績・手術件数 https://caloo.jp/achievements/ で検索してみることが出来ます。
同じ病気の症例数や手術件数が多い方が、一般的には、レベルの高い治療を受けることが出来る、と評価されています。
病院による違い
「病院による違い」とは何でしょうか。夫の大腸がんの場合で考えてみました。
治療方針
- 抗がん剤治療
- 薬の選択、期間、タイミング
- 手術形態
- 腹腔鏡手術、ロボット手術、開腹手術
- 放射線治療
設備
MRIの機械、放射線治療の機械、手術の機械が充実しているかどうかなどです。
技術
わかりやすい例として、手術の件数や成功例などの成績や予後の違い。
大腸がんに対しては、設備が整い、ダビンチ資格者がいるとロボット手術が可能です。
今から2年前の講演の動画ですが、参考になるのでリンクします。
2019年3月16日(土)開催
「ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2019in東京~」
「大腸がんの手術療法~開腹手術からロボット手術まで~」
絹笠 祐介
東京医科歯科大学医学部附属病院 大腸・肛門外科 科長
東京医科歯科大学大学院消化管外科学分野 教授
入院日数
病院によって、入院日数はかなり違うようです。
twitterやinstagram、ブログなどを読むと、バラつきを感じます。
抗がん剤治療ひとつとっても、でも、最初の1~2日だけ入院する場合や、通院のみ、全期間入院などまちまちです。
金銭的な問題
「最高レベルの医療を受けたい」と考えたとします。
自宅からの距離。
自宅から遠い場合は、交通費が多くかかるので、負担増になります。
遠い病院は、直ぐに行くことが出来ないので、精神的にも不安になります。
先進医療
健康保険の適用外の先進医療を受けるとなると、かなり高額な治療費を支払うことになります。
民間の保険でカバーできればよいのですが。
先進医療を受けることのできる病院は、まだまだ多くはありません。
今の自分に出来ること
「知っている」のと「知らない」のとでは、大きな差になります。
最善ではないかもしれないが、トータルで考えて「この選択で行こう!」と考えることが、悔いの残らない方法だと思います。
医師のレベル差
医師のレベル差を感じる出来事がありました。
紹介状をいただいて、大学病院を受診する前の最初の病院での事です。
最初の病院での事
最初に受診した時の医師の名前を、ネットで検索しました。
どこの大学出身で、どこの病院にいたのかなど、ざっくり判明しました。
中堅といわれる私立大学出身でした。その大学の附属病院で勤務経験があるようでした。
1人目の医師の診断
- 向こう5年間はガンの心配もない
- ストレスが関係しているかも。特に心配はない
ストレスでしょうと言われたため、痛み止め(市販のロキソニン)を飲む毎日でした。
実はこの時点で、真剣に考えるべきでした。結果として痛み止めに頼り、放置したことになります。
2人目の医師の診断
3月末の人事異動で、医師が変更になっていました。
1人目の医師の診察の時よりも、症状が進んでいたこともあります。
状況が違うので、比較してしまうのは、フェアではないかもしれません。
しかし、2人目医師は、すぐに消化器内科の医師と連携し、直腸がんの恐れがあると判断したようでした。
その2人目の医師の経歴をインターネットで検索しました。
有名超難関大学の助教授でした。経験値の多さや、似たような症例に携わる環境にあったのかもしれません。
そこからは、展開が早かったです。
たられば
たらればですが、
最初から、この2番目の医師に診察してもらっていたら、もっと早くガンと判明したかもしれません。
最初の受診から5か月の期間で、S状結腸に出来たガンが膀胱の方へ浸潤する深さも進行してしまったのかもしれません。
逆に、2番目の医師と消化器内科の医師の連携がなかったら、もっと悲惨なことになっていたかもしれません。
具体的には、大腸破裂や、腸閉塞で、救急車で運ばれる事態になっていたかもしれません。
おわりに
同じ病気でも、治療方法や方針、技術などにより、術後や予後に大きな違いが出ます。
患者としては、同じ病気なのに痛みに大きな違いがあったり、ガンを取り残したり、手術後に障害が残ったりするようなリスクはなるべく避けたいと考えます。
大きな病院なら大丈夫だろう、知名度が高いから腕は確かだろうと考えてしまいがちです。
夫がガンと診断されて、いろいろ調べるようになりました。
(もちろん地域格差もありますが、それは別の機会に書こうと思っています。)
特にガンの治療に対しては、昨今情報過多になっているようです。真逆の意見もあります。
あふれるガンに対する情報の取捨選択は難しいですが、納得できるまで勉強したり、調べるつもりです。